『ガーデン』/千早茜 〇

本作『ガーデン』装丁の、密集する植物の森。
噎せ返るような濃密さが感じられ、ドロドロ系の物語かと思ってました(笑)。
どっちかというと、主人公・羽野自身はそういったドロドロを、ガラス一枚隔てた場所から温度のない目線で眺めているような男でした。
千早茜さんって、時々こういう体温の低そうな男性を描きますねぇ。

密集する植物の森、と書きましたが、これは自然の森じゃないですね。たぶん。
この絵はきっと植物園だなぁと思いました。野放図に生えているようで、たぶん自然界は、こんなに多種がバランスよく見栄えよく生えてたりはしないんじゃないかしら。
私がよく知ってる植物園をもっと鬱蒼とさせたら、こんな感じ。
幼少時、こういう庭しか自由にできる戸外がなかったとしたら、羽野の植物にしか執着できないという嗜好もなんとなくわかるような気がしますね。

幼少時、父の仕事の都合で海外で生活していた羽野は「帰国子女」だが、そのくくりをあまり好いてはいない。彼がいたのは、高級住宅街しか治安の良い場所がなく、学校も送り迎えされ、外出もできず、自由に過ごせる戸外は自宅の庭だけ、というような国。
帰国して大人になりライフスタイル誌の編集者となっても、心を寄せるのは植物だけ。
仕事は出来るし、深く踏み込むことはなくてもそれなりに人間関係もこなせる彼は、淡々と生活している。

う~ん、なんだかなぁ。たぶんモテると思います、羽野。物腰柔らかなイケメンのイメージ。
最初は、好きになっちゃうかもしれないな、私。だけど、どうにも現実感がなくて、物足りないなぁと感じてしまうんですよね。勝手に期待して、勝手に失望する・・・羽野が嫌がる好かれ方だけど、しょうがないと思うのですよ。
彼の知人のバーテンガール・緋奈が、彼を〈自分の手に負える程度の欲望しか所有してない、作り物みたい〉といった時、なるほどと思いました。うん、そういう人を好きでい続けられるほど、根性ないわ、私。

そんな羽野に関わる数人の女性たちの方が、ずっと〈生きてる〉。
彼女たちから影響を受ける…ということもあまりなく、あまりにも淡々とし過ぎてるよ!!もうちょっと〈温度〉のある生き方しようぜ!と密かにツッコミを入れてました。

一番危ういかかわり方をしていた理沙子(建築デザイナーの愛人)がニューヨークに去ったと聞かされ、彼女を求めて池を目指す(そこに彼女はいない)ラストが、もしかしたら羽野が変わることを示唆しているのかもしれない、だったらいいなと思いました。

知らない植物の名前が沢山出てきて、ネットで検索したりしながら読んでました。
南国の植物が多かったのですが、何というか南国の植物って生命力強そうですねぇ。
ラストに出てくる建築デザイナーが改築したというホテル、行ってみたいですね。
生命力強そうな植物がこれでもかというぐらいグイグイ迫ってくる、ちょっと不思議な空間になってそうです。
・・・あんまりホテルっぱくないし、お手入れ大変そうだけど。
久し振りに、植物園に行こうかな、って気になって来ました。この時期、南国系の植栽の場所は暖かそうだし(笑)。

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(2019.01.09 読了)

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