テーマ:廻り廻るは悪意か狂気か

『Q&A』/恩田陸 ○

2002年2月11日午後2時過ぎ。都内郊外の大型ショッピングセンターで大規模な死傷事故が発生。居合わせた人数はかなりの数に上るにもかかわらず、本当は何が起こったのか、どうしてここまで大きな事故になったのか、誰にもわからない。この事件を調査する質問者と、事件に色々な形で関わった回答者の『Q&A』(質問と答え)だけで、物語は進行していく。恩…
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『数えずの井戸』/京極夏彦 ◎

は~、今回もぶ厚かったですなぁ、京極夏彦さん(笑)。本書『数えずの井戸』は、京極版「皿屋敷」である。まず番町・青山家に関してどんな噂が流れたかが語られ、そして実際の惨事の結果だけが語られ、序章となる。本編は、青山家で起きた惨事の関係者たちの性質とそれに関わる物語が、延々と語られていく。次第に歪みを増していく、彼らの事情と性質。読んでて非…
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『かいぶつのまち』/水生大海 ○

水生大海さんの前作、『少女たちの羅針盤』を読んでいないと、ちょっとわからない部分があるような・・・。高校演劇の大会の当日に、『かいぶつのまち』というその劇になぞらえるかのように、悪意のある事件が続出する。しかも、混乱は以前から続いているのだという。〈かいぶつ〉は誰なのか。何故、演劇部に事件が起こり続けるのか。 地方小都市で一躍脚光を浴…
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『おとぎのかけら ~新釈西洋童話集~』/千早茜 ◎

イソップ童話などの原典は、結構オソロシイ。現代に伝わる「意地悪な継母」が実母だったり、「懲らしめられ改心した元悪者」は罰として惨殺されていたり。それらを何重ものオブラートに包み、悲惨さに安心を上塗りして隠し、現代の西洋童話は流通している。そんな童話達を、あえて現代日本を舞台にして大胆に翻案した、『おとぎのかけら ~新釈西洋童話集~』。千…
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『冥談』/京極夏彦 ○

いやぁ・・・本作『冥談』も投げっぱなしですなぁ、京極夏彦さん(笑)。『幽談』のときも、「うわ、オチがない・・・」って言ってたと思うんですが、とにかく、イキナリ話が終わってしまって、その居心地の悪さったら、ねぇ・・・。 最初の方は「うっわ~、来たよ来たよ、京極さんのオチなしホラー!」と、喜んでたんですけど、ちょっと食傷しちゃいました(笑…
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『道徳という名の少年』/桜庭一樹 ○

良くも悪くも、桜庭ワールドだなぁ・・・というのが第一印象。淫靡で甘くまとわりつくような、それでいて砂のように乾いている、一族の歴史。喧しいのに、静かに流れて行く時代。とても、桜庭一樹さんらしいなぁ~と。『道徳という名の少年』、町いちばんの美女から始まる、背徳の歴史。 「1、2、3、悠久!」町いちばんの美女がそれぞれ父親の違う、四姉妹を…
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『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』/本谷有希子 △

なんとも「痛い」物語である。 「痛々しい」でもあるし、今流行りの「イタい」でもあり、もちろん実際に心身ともに「痛い」。 今まで読んだことのある、本谷有希子さんの作品とは全然違う傾向で・・・ビックリしました。 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』というタイトルのインパクトもすごいよね・・・。 家族の愛憎劇、というと昼メロ調だな。…
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『Another』/綾辻行人 ◎

うわぁ・・・。メインの物語は何とか終ったけど、繰り返され続ける「3年3組の災厄」の抜本的解決は出来そうにないという・・・。後味悪ぅ・・・。大体、何が・何故・どうやって・誰が、という理屈が全然、通らないんだもの。クラスに紛れ込む<死者>には一欠けらの悪意 もなく、記憶を操作されている。<現象>としてとらえるしかない、<災厄>。綾辻行人さん…
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『追想五断章』/米澤穂信 ◎

父の死により学費が捻出できなくなり休学、古書店を営む叔父の家で仕事を手伝いながら漫然と同居していた菅生芳光はある日、「亡父の遺稿を探して欲しい」という依頼を受ける。依頼人・北里可南子の父は、生前に結末を伏せた〈リドル・ストーリー〉というスタイルの小説を5編書いていたという。 『儚い羊たちの祝宴』で、最後の最後で愕然とするほど覆される物…
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『フリークス』/綾辻行人 ○

K**総合病院精神科病棟で、3つの物語が語られる。何かが、おかしい・・・。本格ミステリの綾辻行人さんが、「精神科病棟患者」物を描いた『フリークス』。疑ってかかる読者、翻弄しようとする作家。より狂気に近いのは、どちらなのだろうか・・・。 「夢魔の手」1年前殺人事件を起こした母を見舞う青年。母から聞かされたこと、真実と思われること。そして…
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『絶望ノート』/歌野晶午 ◎

ああ・・・まさにこれは、歌野晶午さんの作品だ。気をつけなくちゃ、と思ってたはずなのにまた、やられた・・・。想像(警戒?)の斜め上を行く、あの展開はすごい。主人公・大刀川照音(たちかわしょおん)の絶望の日々を綴った『絶望ノート』。あまりに酷いいじめの描写に、心が冷える。彼が神に縋ったとしても、それを非難することは出来まい。だが、彼が願うと…
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『デンデラ』/佐藤友哉 ○

あけまして おめでとうございます 今年も、素晴らしい作品に出会って、良い記事(←かなり疑問)をUPできるといいなぁ~と希望しています。 この一年また、お付き合いいただければ光栄に存じます。 さて2010年のトップを飾りますのは、佐藤友哉さんの描く衝撃作、『デンデラ』。それは、かつて日本の農村にありえた「…
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『最後の記憶』/綾辻行人 ○

白髪性若年性痴ほう症の母。現在から過去へ向かって、次々と失われていく記憶の中で、残るのは印象の強い記憶。母の中で、もっとも強い記憶は、殺戮の現場から逃げ出したというものであった。次第に濃度を増していく、恐怖の記憶にさいなまれる母を看取りながら、この痴呆症が遺伝性のものであることに、つまり自分に遺伝子発症することを恐れる主人公・僕・波多野…
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『ずっとお城で暮らしてる』/シャーリィ・ジャクスン ○

怖い、怖い・・・。何が怖いって、ラストシーンが怖い。姉・コンスタンスと「2人きりで暮らせることがとっても幸せ」だとメアリー・キャサリンは言うのだ。全てとの交流を断って。ブドウのつるに覆われた洋館で。幸せなのだ、と。シャーリィ・ジャクスンさんの描く狂気の世界。でも、狂っているのは、誰なの?村の裕福な一家を襲った毒殺事件。容疑者であった長女…
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『カワセミの森で』/芦原すなお △

主人公・桑山ミラは、高校2年の夏、恐ろしい体験をする。美しい、カワセミのいる森の瀟洒な洋館で、連続する殺人。豹変する友人、成功した一族にかけられた崩壊の呪い。 誰が、何のために・・・? 芦原すなおさんには、『新・夢十夜』で、とんでもなく恐ろしい夢を見せられたものです。あ~、あれは思い返すも、恐ろしく、イヤ~なものであった・・・。…
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『枯骨の恋』/岡部えつ ○

部屋の片隅に、骸骨が立っている。主人公・真千子はそれを、15年前に別れ、そののち死んだ、自分の元恋人の骨なのだと思っている。骨は何もせず、ただ立っているだけ。新しい男を連れ込んで、明かりをつけたまま関係しても、それでもなお。第3回『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞した、岡部えつさんの『枯骨の恋』は、そんな乾いたおぞましさを漂わせる、短編…
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『充たされざる者』/カズオ・イシグロ △

ううむぅ~。非常に感想を書きづらいです・・・。カズオ・イシグロさんの、格調高い自制のきいた物語構成・文章(訳も良いのだと思いますが)、古き良き時代を思い起こす、郷愁漂う世界。本書『充たされざる者』も、そういった世界を踏まえつつ、不条理な悪夢の連続のような、堂々巡りが続いてゆく。その堂々巡りが、どんどん収拾つかない方向へ行くせいで、大変疲…
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『贖罪』/湊かなえ ○

あ~、なんて言うか、非常に評価の仕方が微妙です・・・。 物語としては、うわぁ・・・湊かなえさん大丈夫かしらん、こんなの書くとすっごく精神的に色々消費しすぎて辛くないかしらん…という感じで、相変わらずすごいな、と思うのですが。この『贖罪』も、衝撃的作品であります。「そんなつもりはなかった」という一時の感情が、ずっと15年も尾を引いて、おぞ…
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『厭な小説』/京極夏彦 ◎

いやぁ・・・(笑)。色々、言うべきことはあると思うんですが、なんと言うか、この作品は、真面目に受け取ってはいけないような気がする。あえてここは、明るく軽~く受け流すのがよろしいかと。・・・なんて言うか非常に挑戦的な作品でございましたよ、京極夏彦さん。なんせタイトルが『厭な小説』で、タイトルだけじゃなく、内容も、構成も、装丁から何から(虫…
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『ブードゥー・チャイルド』/歌野晶午 ○

誤認識を、そっちに持って行きましたか、歌野晶午さん。なるほど・・・ですねぇ。その誤認識は、結構リアリティがあるかなぁ、と思いました。『ブードゥー・チャイルド』の書き出しは、とても通俗的なオカルトっぽい。が、そのオカルトっぽい文章を書きつづっているのは、普通の中学生の男の子で・・・。 前世の記憶をもっている中学生のぼく・晃士。その前世と…
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『少女』/湊かなえ ◎

前作『告白』が、かなりインパクトのある物語で、本作『少女』はどうなんだろう・・・という期待と不安がありました。今度もM市図書館の予約待ち30人以上でした。やっと手元に回って来て、半日で読了しました。・・・湊かなえさんは。怖ろしい作家さんです・・・。 些細な悪意が重なって、自己中心の欲望が充満し、2人の女子高生・敦子と由紀は「死」に関わ…
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『儚い羊たちの祝宴』/米澤穂信  ◎

ほほう・・。ラストで覆される、ってのは前評判で聞いていたのですが、なるほどですね。 読書会「バベルの会」に所属する娘たちの周辺で起きる、不吉な事件の数々。 以前読んだ『story Seller』に収録されていた「玉野五十鈴の誉れ」も、4編目に入っています。 米澤穂信さん、人気高いですよね~。デビューは2001年ですが、発表され…
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『幽談』/京極夏彦 ○

京極夏彦さんですよ。実は、【蒼のほとりで書に溺れ。】の記念すべき第1番目の記事が、京極さんの『どすこい(仮)』だったのですが、その後も『巷説百物語』シリーズでなどで、魅了されましたねぇ・・・。で、本作『幽談』は、如何に。――― うわ、投げっぱなしだよ。怖いとか怖ろしいとか、そんなことの前に。このオチの無さは、この居心地の悪さは、いったい…
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『草祭』/恒川光太郎 ◎

恒川光太郎さんの描く異界。それは、怖ろしくも美しい、そしてどこにでも存在していそうな、現実世界と微妙にズレた、怪しい世界。恒川さんには、彼岸と此岸の境目が見えているに違いない、と思う。その常人には感知できない境界線を知っているからこそ、あの世界を表現できるのだろう。本作『草祭』も、その恒川さんの本領発揮、引き寄せる異界と溶けゆく現実が、…
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『新・夢十夜』/芦原すなお ○

うわ・・・。夢って、ここまで陰惨に構成出来るんだ・・・。怖ろしい。 芦原すなおさんの描く、「夢」の世界は、とにかく暗く湿ってまとわりつく。 今晩、こんな夢見ちゃったら、どうしよう・・・(泣)。 芦原さんが語り下ろす『新・夢十夜』。 それぞれ全く違った設定で、構造も全く違うものなのに、読後感は泥沼・・・。粘り気のある冷たい泥に…
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『告白』/湊かなえ ◎

前評判がすごかった、この『告白』、確かにスゴイ。「事故だったはずの自分の娘の死は、本当はこのクラスの生徒に殺されたのだ」と女性教師が語り始めるという、インパクトのある序章、その後5章にわたって、事件と事件その後について、事件関係者とその周辺の人物が語る物語は、あまりにも陰惨で、救いがない。予想をはるかに上回る、「人間」の醜さ。けれど物語…
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『倒立する塔の殺人』/皆川博子 ○

前から、気になってたんですよね~、この『倒立する塔の殺人』。戦時中のミッションスクールで回し書きされ始めた「小説」。チャペルで死亡した女生徒。物語と現実は絡み合ってゆく・・・・そんな前評判をどこかで聞いていたので。戦時中及び直後の閉塞感や、女学校という特異な空間の人間関係など、妙におどろおどろしいというか、鬼気迫るものがありました。著者…
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『深泥丘奇談』/綾辻行人 ◎

―――これは、すごいわ。じわじわと忍び寄り、いつの間にか入れ換わっている異界。激しい眩暈に見舞われた主人公の作家が今いるのは、昔から知っているの「深泥丘」なのか?綾辻行人さんの本業は、本格ミステリですが、こちら『深泥丘奇談』は怪奇幻想譚といった趣。その妖しい世界は、水無月・Rの心をガッチリ掴んでしまいました・・・!! すみません、今年…
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『眼球綺譚』/綾辻行人 ○

綾辻行人さんの 『深泥丘奇談』を読もうと思ってたところ、雑誌 『ダ・ヴィンチ』の特集に「深泥丘の前に『眼球綺譚』を」とあったので、M市図書館の書庫から出してもらいましたよ。ううむぅ~。こ、これは・・・グロイな。ホラーでグロイ・・・ううむぅ~。なんていうか、水無月・R的ボーダーラインを出たり戻ったりという、アレだ、津原泰水さんみたいな感じ…
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『すべてがFになる』/森博嗣 ○

すみません。水無月・Rは、無教養なんです。根っからの文系人間だし。だから、この『すべてがFになる』の謎解きは、全っ然、出来なかったです。ていうか、普通の人にこれは解ける謎なんですか?無理ですよね?無理って言ってぇ~!しょっぱなから、西之園萌絵の暗算能力に驚かされただけの人間に、このミステリは、無理だったのかも・・・トホホ。森博嗣さんは、…
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